統計解析ソフトJASPをおすすめする理由
統計検定や臨床研究に取り組む際、使いやすい統計ソフトを選ぶことは非常に重要です。私自身も、これまでにR、JASP、Rコマンダー、EZR、HAD、Excelなど、いくつかの無料統計ソフトを試してきました。
その中で特におすすめしたいのが、**直感的に操作できて機能も豊富な「JASP」**です。
JASPとは?
JASPは、アムステルダム大学心理学部によって開発された、誰でも無料で使える統計解析ソフトです。
- 日本語表示に対応しており、英語が苦手な方でも安心
- t検定、分散分析、回帰分析、因子分析、ベイズ統計など、多様な手法に対応
- 複雑な統計処理もマウス操作だけで完結
- 出力されるグラフや表はAPAスタイル準拠で、論文や学会発表にそのまま使えます
さらに、現在も継続的にアップデートされており、新機能も順次追加中です。
JASPの魅力
1. 直感的な操作性
JASPでは、メニューから項目を選ぶだけで解析が可能です。難しいコードを書く必要がなく、操作も視覚的でわかりやすいため、初心者でも安心。
たとえば、t検定を実行するまでにかかる時間はたった数十秒。以下の動画のように初めてでもすぐに結果が得られます。
2. 見やすいグラフと表
統計結果を視覚的に伝えることは、研究発表や論文執筆で非常に重要です。
JASPでは、チェックボックスをクリックするだけで、
- 学会や論文に使えるクオリティのグラフ
- 整ったフォーマットの統計表
を簡単に作成できます。
具体的には以下のようなグラフが簡単に作成できます。

統計を使用したデータ分析では以下のような作業がしばしば発生しますが、JASPならこれらの編集も簡単に実行可能です。
- 棒グラフにエラーバーを付ける
- ヒストグラムを作成する
l
3. 多様な解析手法に対応
JASPは、基本的な統計手法(t検定・ANOVA・回帰分析など)だけでなく、ベイズ推定にも対応しています。
ベイズ統計は近年注目されているアプローチですが、他の無料ソフトでは扱いが難しい場合もあります。
JASPなら、GUI上から簡単に選択・実行できるため、ベイズ統計入門にも最適です。
メニューを開くと以下のようなリストから統計手法を選択出来ます(バージョン0.19.3.0)。
伝統的統計手法 | ベイジアン | |
記述統計量 | 記述統計 雨雲プロット 時系列記述統計 フレックスプロット | |
t検定 | 独立したサンプルのt検定 対応のあるサンプルのt検定 1標本のt検定 | 独立したサンプルのt検定 対応のあるサンプルのt検定 1標本のt検定 |
分散分析 | 分散分析 反復測定分散分析 共分散分析 多変量分散分析 | 分散分析 反復測定分散分析 共分散分析 |
混合モデル | 線形混合モデル 一般化線形混合モデル | 線形混合モデル 一般化線形混合モデル |
回帰 | 相関 線形回帰 ロジスティック回帰 Generalized Linear Model | 相関 線形回帰 ロジスティック回帰 |
度数分布 | 二項検定 多項検定 分割表 対数線形回帰 | 二項検定 A/Bテスト 多項検定 Informed Multinomial Test Informed Multi-Binomial Test 分割表 対数線形回帰 |
因子 | 主成分分析 探索的因子分析 確認的因子分析 |
4. 学習コストが低い
医療従事者は、日々の臨床業務に加えて以下のような知識習得に追われています:
- 解剖学・生理学などの基礎医学知識
- 検査・治療に関する臨床技術
- 使用機器の操作法や管理
そのうえで、さらに統計ソフトの使い方まで一から勉強するのは現実的ではありません。
たしかに、RやPythonのようなプログラミング言語を使った解析は自由度が高く便利です。
しかし、使いこなせるようになるまでの学習コストは非常に高いのが実情です。
その点、JASPはメニュー操作で完結し、基本的な仕様さえわかればすぐ使えるのが大きな利点です。
初見でも「どのボタンを押せばいいか」がおおよそ想像できるインターフェースは、まさに忙しい医療従事者の味方です。
まとめ
無料で使える統計ソフトは数多くありますが、JASPは以下の理由で特におすすめです:
- 直感的な操作性
- 論文や発表にも使える美しい出力
- 多彩な統計手法に対応
- ベイズ推定もGUIで簡単に実行
- 医療従事者にも優しい「低い学習コスト」
もし「Rは難しそう」と感じて統計解析をあきらめかけたことがあるなら、まずはJASPを試してみてください。
関連記事のご案内
☑️ 30秒でできるJASPでのt検定のやり方も以下の記事で解説しています。
☑️ 他にも、回帰分析やノンパラメトリック検定なども60秒以内で実行できる方法を紹介しています。
👉 JASPの統計手法まとめ記事はこちら
コメント